積分感覚
受験生なので手抜きです.
放物線 上を点 が動く.放物線 の点 における法線上に点 と を,点 からの距離がともに となるようにとる.ただし,点 は不等式 の表す領域に含まれるようにとり,点 は不等式 の表す領域に含まれるようにとる.
(1)省略
(2) が から まで変化するとき,点 が描く曲線と点 が描く曲線で囲まれた部分の面積を求めよ.
(19年 千葉大学 医・理 後期)
微小量への理解があれば,このような問題でもサックっと答えが出せます(原題では点 の座標を求めさせるよう誘導がかかっていたので,解答としてはもう少し厳密な議論が必要だった可能性はあります).
※微小体積ではなく微小面積
フェルマーの二平方定理の一文証明の解説
とても美しい定理です.
この定理に対して,20世紀後半にすんばらしい証明がZagierによって与えられました(いわゆるZagierの一文証明).
証明(Zagier)
有限集合 ( は を満たす奇素数) 上の対合(involution):
は一つの固定点(fixed point)を持つため,は奇数であり,対合 も固定点を持つ.□
用語の解説をしましょう.
- 対合(involution)とは,2回施すと元に戻る写像(関数)のことです. などがその例に当たります().また,ヒトの集合を *2とするとき, 上で定義された「既婚者ならば配偶者を,未婚者ならそのヒト自身を返す」写像も対合になります.
- 固定点(fixed point,不動点)とは,写像によって自分自身が返される点のことです. の例では よ満たす値,すなわち が固定点になり,ヒトの例では未婚者が固定点になります.
- は,有限集合 の要素数を表します.高校数学的に書くと です.
さて,この証明は一文で完結しており,見た目は非常に綺麗ですが,証明の詳細(行間)を汲み取るにはある程度の訓練が必要だと思います.この記事は,この一文証明をexpandして,複数のSTEPに分け解説し,証明の理解を促すものです.
証明の解説
STEP 1. 関数 :
が対合であることを確認する.
ここで, の定義域に と の場合が含まれていないことが気になった人がいるかもしれない. は 上で定義された関数であったから,上記の条件を満たす の要素
存在しないことを確認しよう.
のとき, であるから,これを満たす自然数 は存在しない.
のとき, であるから,この場合も同じである.
次に,
とおく.であることが簡単に確認できるので,確かに は対合である.STEP 2. が固定点を持つことを確認する.
STEP 1の最後より, が固定点を持つならばそれは の要素である.このとき,
であるから, の定義より であり, が素数であることから, が唯一の固定点となる( より であることに注意する).
STEP 3. が奇数であることを確認する.
を STEP 2 で求めた固定点でないものとしたとき, を の相方と呼ぶ. は対合であったから, の相方は であり と はコンビとみなすことができる.固定点以外の の要素はあるコンビに属しており,固定点は相方を持たないため,は奇数である.
STEP 4. 対合 が固定点を持つこと, が二つの平方数の和で表されることを確認する.
が奇数であるから, による のコンビ分けが如何なるものであっても,ぼっちとなる要素が一つは存在する*3.これが固定点となる.これを とすれば の定義より
を満たすので, は二つの平方数の和で表される.□STEP 5. 必要十分(???)であることを確認する.
こんな記事を書いてて申し訳ないのですが,Zagierによる証明が「 が二つの平方数の和で表される」と「 が二つの平方数の和で表される」のどちらを意味するのかはっきり分かっていません.Zagierの論文を見た限り前者のような気がしますが*4....判明次第更新します.ちなみに「 が二つの平方数の和で表される」の証明は簡単です.
素数の無限性の証明 : Proofs of The Infinitude of Primes
Theorem(Euclid). There are infinitely many prime numbers.
人類たるもの知っておくべき事実でしょう。この記事では、上の定理の証明を高校数学の範囲内*1で、できるだけ多く紹介しようと思います。
素数の無限性の証明は、大きく次の2つに分けられます。
- 素数を有限と仮定して矛盾を導く。
- 互いに素な組を無限に生成する。
証明
Proof 3. 任意の正整数につき、をとる。このとき、とは互いに素なので、の素因数の集合は、の素因数の集合の真部分集合である。 と定めることによって、同様の議論を無限回繰り返すことができる。□
Proof 4. 非負整数について、 と定める。任意の正整数 について、等式
が成り立つ。これは数学的帰納法より簡単に示せる。 を満たす正整数 につき、 と の最大公約数をとする。上の等式より、 はで割り切れるが、 は定義式より奇数である。よって であり、 はどのつを取っても互いに素である。□
Proof 5. 素数を有限個と仮定する(その個数をとする)。 を満たすようなを任意に取る。このとき、以下の素数の2乗で割り切れない数は個(の約数の個数と考えれば良い)。以下の素数の2乗で割り切れる数は多くとも 個である。よって、 を用いて
従って、 であるがこれは十分大きいを取れば成り立たない。□
Proof 8. 任意の自然数に対して、以下の素数の個数をとする。 と定める。また を満たすような、互いに素な自然数 を取り と定める。ここで、 は 以下の素数では割り切れないから、 以上の素数の積である。□
Proof 10. を の素因数の個数とする。素数を有限個と仮定すれば、 は周期 の周期数列であるが、 より矛盾である。□
随時更新予定・・・(予定)
*1:ここで高校数学の範囲とは、私の独断と偏見による.まあ,高校生が頑張れば理解できる範囲だと思います.